水田農業における環境保全型施業の効果

水田農業における環境保全型施業の効果

米作りの現場で,農薬や化学肥料の使用量を減らすために努力している農家がたくさんあります.環境中への農薬や窒素など肥料由来の汚濁物質の流出を減らすとともに,水田や周辺の生物を守ることを目的とした重要な取り組みです.一方で,そのような環境保全型の施業においては,害虫・雑草対策や米の品質コントロールなどで,通常の米作り以上に多くの労力が必要となります.日本では,水田は,食料供給の重要な場であるだけではなく,多くの生物をはぐくむ大切な半自然の生態系としての役割も担っています.そのような場を守るために行われる環境保全型の水田農業の意義は,もっと多くの人(消費者)に理解され後押しされるべきものだと考えます.
 当研究室では,近年,沿岸海域での研究が中心となっていましたが,今回新たに水田での研究を多くの方々の協力を得ながら立ち上げました.今年6月には,宮城県大崎市,(株)いであ,JAおよび多くの稲作農家に協力いただきながら,大規模な水田調査を実施しました.環境保全型農業がどれだけ生物多様性保全に寄与しているのか,そしてさらにその効果は地域の生物多様性や生物生息環境とどのように結びついているのかを明らかにしたいと考えています.今回の調査では,3日にわたって様々な施業方式の水田を学生たちと採水して回りました.今後,様々な水質分析や環境DNAによる生物群集解析を行っていきます.(TS)