自己紹介 – 坂巻 隆史(准教授)

自己紹介 – 坂巻 隆史(准教授)

>>研究活動・実績の詳細へ(Research Map)

プロフィール
自然大好き,海・山は何時間でも眺めていられる.仙台一高卒

メッセージ ~ 物質動態研究の面白さ
「物質動態の解析を基にして,生態系サービスの持続利用の方法を考える」が私の研究テーマです.河川や沿岸海域を対象に,有機物や栄養塩の動態と,それをふまえた環境管理の在り方などについて研究しています. 2014年に南三陸町志津川湾とその流域で研究を始めてからは,農林水産業にも強く興味を持つようになりました.現在は,養殖漁業者の方々とも密に連携し,海の環境をうまく保ちつつ,効率的に漁業生産を行っていく方法についても研究しています.
 都市部に住んでいると,自然環境や生態系がどのようなものかを想像することは容易ではないと思います.また,生物生産を支えたりあるいは汚濁の原因となる有機物・栄養塩といった物質の動態は,フィールドに出ても,直接見てすぐに理解するようなことは基本的にできません.しかし,フィールドに通い観測・サンプリングを重ね,さらに実験なども行っていくことで,それについての理解を深めていくことが可能です.そこでは,様々な化学分析技術も駆使します.そのようなプロセスを通じて,目に見えなかった実環境中での物質の動きや生態系の成り立ちを解き明かしていくところが,この研究分野の醍醐味だと思います.是非,多くの皆さんに,そんな経験をしてもらえたらと思っています.

主な論文業績の紹介(5編)
T. Sakamaki, K. Hayashi, Y. Zheng, M. Fujibayashi, O. Nishimura(2020) Effects of oyster age on the selective suspension-feeding and chemical composition of biodeposits: insights from fatty acid analysis, Marine Ecology Progress Series, 644: 75-89.
(カキは世界各地の沿岸海域で養殖されています.この研究では,カキが海水中を漂う様々な有機物をどのように選択し餌料として利用しているのか,また沈降し海底の汚濁につながる排泄物をどのように生成しているのかを,脂肪酸組成分析を活用し実験で明らかにしました.)

T. Sakamaki and J. S. Richardson. (2013) Nonlinear variation of stream-forest linkage along a stream-size gradient: an assessment using biogeochemical proxies of in-stream fine particulate organic matter. Journal of Applied Ecology, 50: 1019-1027.
(河畔の環境は川の中の有機物の組成にも強く影響します.この研究では,カナダ西部の多数の河川で有機物の化学組成分析を行い,両者の関係が川幅約7~8mより小さな河川で急激に強まることを明らかにしました.)

T. Sakamaki and J. S. Richardson. (2011) Biogeochemical properties of fine particulate organic matter as indicators to assess local and catchment impacts on forested streams. Journal of Applied Ecology 48: 1462-1471.
(河川中の有機物の起源や化学組成は,そこに棲む動物の生産に強く影響します.この研究では,河畔の環境と川の中の有機物の組成がどのように関係しているかを河川調査から明らかにしました.)

T. Sakamaki, J. Y. T Shum and J. S. Richardson (2010) Watershed effects on chemical properties of sediment and primary consumption in estuarine tidal flats: importance of watershed size and food selectivity by macrobenthos. Ecosystems, 13: 328-337.
(北米西海岸16河口の干潟で調査を行い,有機物の起源や化学組成,そしてそしてそれらを餌料とする貝類やゴカイなどの底生動物の餌源が,河川にどのように影響を受けているかを明らかにしました.ここでは,安定同位体分析を活用しました.)

T. Sakamaki and O. Nishimura (2007) Physical control of sediment carbon content in an estuarine tidal flat system (Nanakita River, Japan): a mechanistic case study. Estuarine, Coastal and Shelf Science, 73: 781-791.
(泥や砂などの底質の性状は,そこにどのような生物種(貝類,カニ,ゴカイなど)が棲めるかを決めるとても重要な因子です.七北田川河口干潟での3年近くにわたる観測から,それがどのような自然の機構で決まるのかを明らかにしました.)

Email:
takashi.sakamaki.a5 ☆ tohoku.ac.jp (☆を@に)